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用例を探す

(内容:漢文の参考書や語法書は、用例の孫引きをせずに、自分で用例を探す努力をすべきである。)

高校生用の漢文語法書とか受験参考書を見ていると、結構怪しげなことが書いてあると思うと同時に、使われている用例がどの本もどの本も判で押したように同じなのが気になります。
ひどい場合は、その同じ用例を原典にあたってみると、そもそも原典がなかったり、原典とは文字の異同があったり、中国の古典文ではなく西洋のことわざが漢訳されたものであったりします。
想像ですが、おそらくこういう本を書いている御仁は、自分で用例を探すという努力をあまりせず、他本の孫引きをしているのでしょう。

私の場合は、ずいぶん昔から漢籍のデータベースを作り続けていますので、たとえばある構文の最適の例を探すという場合も、膨大な用例の中から選び出すことができますし、ある漢字の使われ方についても、その膨大な用例を比較検討することにより可能になります。
ざっと100数十の漢籍がデータベース化されていますので、主要なものはほぼ網羅されています。
もちろんこれでも足りませんから、必要に応じて、四庫全書や四部叢刊にあたることもあるし、最近はWeb上でも検索できるようになりましたから、それを利用することもあります。

膨大な用例数とはいえ、ただ用例がありましたではダメですから、用いられている時代や文章の様式なども考慮に入れる必要はあります。
また、データベース化されているデータが正しいとは限りませんから、原典にあたって確認する作業も必要になります。

用例検索画面の画像

ですが、手元ですぐに用例を探せる、有無を確認できるという環境は、劇的に研究の助けになります。
みなさんもぜひご用意されるべきでしょう。

私は、何かの構文に最適な例は、常に膨大な用例の中から最もわかりやすいものを選び出して提示するようにしています。
世の参考書、語法書なども、孫引きなどせずに、もう少し誠実にこういう地道な作業をなさってはいかがでしょうか。

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