(内容:最近購入した書籍を紹介。)
仕事の合間を利用して、ひたすら『概説 漢文の語法』を書き続けている毎日ですが、どんどん欲しい本が増えてきます。
漢字とにらめっこをしていると、その漢字のもともとの意味は一体何だったのだろう…、それがどうしてこのような意味になるのだろう… いわゆる引伸義への興味ですが、最近は日本の昔の学者たちが、どうしてこの形をこう読んだのだろう…という興味もかなり強くなってきました。
そこで買ったのが、『字源』と『漢語文典叢書』です。
どちらもとてもそう簡単には読破できるしろものではなく、必要に応じてこの書にあたっていく、そういう利用の仕方がメインになりますが、パラパラめくっているだけでも楽しい。
李学勤主編の『字源』は、最近の漢字研究が反映されていて、大変参考になります。加藤・藤堂・白川の大先生が大先生すぎて、止まってしまっている日本の漢字研究の情勢から見れば、本当に助かる書です。
汲古書院が昭和54年から56年にかけて出版した『漢語文典叢書』は、江戸時代の儒学者、漢学者たちの渾身の漢文研究の数々を影印刊行したすごい叢書です。
最近、受験漢文の参考書で、英語文法で漢文を読み解き、日本の古人の訓読をケチョンケチョンにいう本が売り出されたけれども、日本の古人の漢文に対する研究姿勢はもう頭が下がるほどに精力的で、またその内容も我々が遠く及ばぬほど精緻を極めたものです。私もそう頻繁に読むわけではないけれども、荻生徂徠や伊藤東涯を始めとする我々の大先輩たちの研究にはお世話になることがあります。
そしていつも思うのです。奇をてらう必要などない、誠実に研究を続けたい。
そうすれば、いつも謙虚でいられます。
知らないことが山のようにあり、知ろうとすれば知ろうとするほどに、どんどんわからないことが生まれてきます。
そういう時、中国や日本の、数々の研究者たち、昔も今も、多くの学者研究者たちが味方になって、自分を助けてくれます。
というわけで、本棚にはまた本が増えて、もうあとはどこに置けばいいのやら…